Letter 医学:変異によるアミロイドの立体構造の制御によってプリオン伝染の障壁を作る 2003年8月21日 Nature 424, 6951 doi: 10.1038/nature01894 βシート構造を多く含み自己増殖するタンパク質凝集体は、タンパク質の誤った折りたたみ現象に幅広くかかわっている。アミロイド病や遺伝性プリオン病もその例である。アミロイドには共通した特徴が2つある。アミロイド形成はいたるところでみられる現象で、互いに関係のない多くのタンパク質にこのような凝集体形成が見られ、1本のポリペプチド鎖でも誤った折りたたみにより複数の形態をとることがある。これが、さまざまなプリオン株が存在する原因となっていると考えられている。このように雑多に起こる現象でありながら、アミロイドの増殖は非常に配列特異的に起こる。すなわちアミロイド繊維は、他のアミロイド生成性タンパク質の凝集は引き起こせないことが多いのである。プリオンでは、この特異性が障壁となって、生物種間での伝染が制限される。今回我々は酵母のプリオン[PSI+]を用いてin vitroの研究を行い、[PSI+]の決定因子となるタンパク質Sup35pに点突然変異を導入すると、「感染力をもつ」立体構造の範囲が変化し、アミロイド凝集を引き起こす際の特異性が変化することを明らかにした。これらの変異を用いることによって、プリオン株のサブセットを特異的に退ける新たな伝染障壁をin vivoで作り出した。このように変異には、アミロイド形成は妨げずにアミロイドの立体構造を変化させる力があり、これがプリオンの伝染障壁を作り出す一般的な機構となっている。また、タンパク質の立体構造に起因する病気で、変異によって毒性が変化する理由も、これで説明できるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る