Letter 生理:BADとグルコキナーゼは解糖とアポトーシスを統合するミトコンドリア複合体中に存在する 2003年8月21日 Nature 424, 6951 doi: 10.1038/nature01825 解糖とアポトーシスは、細胞の生存に欠かせない主要な経路だが、それぞれ独立した経路と考えられている。アポトーシスを促すBCL-2ファミリーの一員であるBADは、成長/生存因子に応答して起こるリン酸化によって活性が調節されている。今回我々は、BADがミトコンドリアの生理作用にもかかわっているかどうかを調べるために、プロテオーム解析を行った。肝臓のミトコンドリアでは、BADは、タンパク質キナーゼAとタンパク質ホスファターゼ1(PP1)の触媒ユニット、Aキナーゼの連結タンパク質としてウィスコット-アルドリッチファミリーに属するWAVE-1、そしてグルコキナーゼ(ヘキソキナーゼIV)とともに機能性ホロ酵素複合体を構成している。BADはこの複合体の集合に不可欠である。なぜなら、Badを欠失した肝細胞にはこの複合体はみられず、その結果、ミトコンドリアのグルコキナーゼ活性が減弱し、グルコースに応答するミトコンドリア呼吸も不活発となるからである。グルコースが欠乏するとBADが脱リン酸化され、BADに依存した細胞死が起こる。またBADのリン酸化状態は、グルコキナーゼ活性の調節を助けている。BADを欠失したマウスやリン酸化できないBAD(3SA)変異体をもつマウスでは、著しい耐糖能障害を含むグルコース恒常性の異常がみられる。これらのプロテオミクス、遺伝学、生理学データをあわせた結果から、BADはグルコース代謝経路とアポトーシス経路とを統合する予想外の役割を担っていることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る