Letter 医学:アルテミシニンは熱帯熱マラリア原虫のSERCA(筋小胞体カルシウムポンプATPアーゼ)を標的とする 2003年8月21日 Nature 424, 6951 doi: 10.1038/nature01813 アルテミシニンは、ヨモギの一種クソニンジン(Artemisia annua)から抽出され、現在使用可能な最も強力な抗マラリア薬であり、すべての無性生殖期にある熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)を速やかに死滅させる。アルテミシニンは、毎年百万人の命を奪うマラリア疾患で多剤耐性マラリアの治療に広く使用されているセスキテルペンラクトンである。臨床および研究に広範囲に用いられているにもかかわらず、アルテミシニンの分子レベルの標的は同定されていない。活性化されたアルテミシニンは、ヘムや翻訳で制御される腫瘍タンパク(TCTP)、その他の高分子量タンパクなど、多様な生体巨大分子と付加体を形成する。本論文では、アルテミシニンが、アフリカツメガエル卵母細胞中で熱帯熱マラリア原虫のSERCAオーソログ分子(PfATP6)を、タプシガーギン(別のセスキテルペンラクトンで、特異性の高いSERCA阻害剤)と同等の力価で阻害すること、またこの作用がキニンまたはクロロキンではみられないことを報告する。さらに、予想されるようにタプシガーギンがアルテミシニンの殺虫活性と拮抗することもわかった。分子内環状過酸化物を欠くデオキシアルテミシニンは、PfATP6阻害剤としても抗マラリア薬としても無効であった。またデフェリオキサミンで鉄をキレートすると、アルテミシニンの駆虫性効果は消失し対応してPfATP6阻害も弱まった。BODIPY-タプシガーギンを用いて原虫を画像化すると細胞質区画が標識され、これはアルテミシニンと競合した。また蛍光性アルテミシニンを用いても原虫は同様に、またFe2+依存的に不可逆的に標識された。以上のデータは、アルテミシニンが鉄による活性化後、食胞外でPfATP6を阻害して作用することを示す確かな証拠である。 Full Text PDF 目次へ戻る