Letter 医学:脊髄内ミクログリアで誘導されるP2X4受容体は神経損傷後の異痛症(アロディニア)の発現にかかわる 2003年8月14日 Nature 424, 6950 doi: 10.1038/nature01786 神経損傷後の疼痛は、神経系が異常に作動していることを示しており、その例の一つに、非侵害性刺激によって誘発される痛覚過敏状態である異痛症がある。このような疼痛に対する有効な治療法はなく、発生の機構はほとんどわかっていない。本論文では、イオンチャネル型ATP受容体のサブタイプの1つで、脊髄内にあるP2X4受容体(P2X4R)を薬物で阻害したところ、末梢神経損傷によって誘発された異痛症が改善したこと、また損傷を与えなかったラットでは急性の痛覚応答に影響が認められなかったことを報告する。神経損傷後、P2X4の発現は、損傷と同じ側の脊髄で著しく上昇した。またP2X4は、機能亢進状態のミクログリアで誘導されたが、ニューロンまたはアストロサイトでは誘導されなかった。P2X4のアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを脊髄内に投与したところ、P2X4の発現誘導が低下し、神経損傷後の異痛症が抑制された。これとは逆に、P2X4を事前に誘導して刺激しておいたミクログリアを髄腔内に投与したところ、正常のラットでも異痛症が発現した。これらの結果を総合すると、機能亢進状態のミクログリアのP2X4の活性化が、神経損傷後における異痛症に必要であり、また正常ラットにおける異痛症の発生に十分であることがわかる。したがって、ミクログリアのP2X4を阻害することは、神経損傷によって誘発される疼痛に対する新しい治療法になる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る