Letter 細胞:ホスホリパーゼCγはゴルジ体でRasGRP1によりRasを活性化する 2003年8月7日 Nature 424, 6949 doi: 10.1038/nature01806 Rasタンパク質は細胞の増殖および分化を制御し、癌の30%でこのタンパク質に突然変異が生じている。最近我々は、Rasは細胞膜と同様にゴルジ体でも活性化され、ゴルジ体からのシグナルを伝達することを示したが、シグナル伝達をどのようにして区分しているのか、その機作は分からなかった。本論文では、Srcに依存するホスホリパーゼCγ1の活性化に応答して、Rasグアニンヌクレオチド交換因子RasGRP1がゴルジ体に移動し、そこでRasを活性化したことを示す。Ca2+は、ゴルジ体ではRasGRP1を介してRasに対する正の制御を行ったが、同じ第二メッセンジャーが細胞膜では、RasGTPアーゼ活性化タンパク質CAPRIを介して、Rasに対する負の制御を行った。RasGRP1を多く含むジャーカット細胞でT細胞受容体の刺激に続いて起こるRasの活性化は、ゴルジ体に限ってCAPRIの作用により行われており、このことはゴルジ体でのRasの生理作用をはっきり示すものである。ゴルジ体でのRasの活性化は、PC12細胞の分化の誘導、繊維芽細胞の形質転換および放射線への抵抗性をもたらす。従って、ゴルジ体でのRasの活性化は生物学上重要な影響を持ち、細胞膜でのRasの活性化とは異なる経路を介して進行する。 Full Text PDF 目次へ戻る