Letter 神経:加齢による神経変性の防御にプロリルイソメラーゼPin1が果たす役割 2003年7月31日 Nature 424, 6948 doi: 10.1038/nature01832 アルツハイマー病やその他のタウオパシーに見られる神経病理学的特徴に、老人斑や神経原繊維変化がある。マウスモデルとしてはb-アミロイド前駆体タンパク質やプレセニリン、タウなどといった特異的タンパク質を過剰に発現させることによって作られたものがあるが、遺伝子ノックアウトで作成されたものはない。アルツハイマー病では、神経原繊維変化や神経変性に先立って、タウなどのタンパク質でプロリン残基の前にあるセリンやトレオニン残基がリン酸化されるらしい。このようなリン酸化(Ser/Thr)-Proモチーフは2種類の異なった立体構造をとって存在し、一部のタンパク質ではその2種類の立体構造間の変換をPin1プロリルイソメラーゼが触媒する。Pin1は、リン酸化されたタウタンパク質に直接働いてコンホメーションと機能を元に戻したり、タウの脱リン酸化の促進により間接的に元に戻すことから、神経変性にPin1が関わっていることが示唆されるが、遺伝学的証拠は得られていない。今回我々は、Pin1の発現が、アルツハイマー病で予測される神経の脆弱性や実際の神経原繊維の変性を阻止する方向に働くことを明らかにする。Pin1ノックアウトマウスでは、運動や行動能の低下やタウの過剰なリン酸化、タウ繊維の形成、ニューロンの変性を特徴とする、加齢に依存した進行性ニューロパシーが引き起こされる。このようにPin1は、加齢による神経変性を防ぐうえで極めて重要であり、アルツハイマー病やその他のタウオパシーの病因と治療を考える手がかりとなる。 Full Text PDF 目次へ戻る