Letter

物理:広島原爆の生存者がいた諸距離における高速中性子の線量測定

Nature 424, 6948 doi: 10.1038/nature01815

原子爆弾の生存者からのデータは、放射線による発癌のリスクを計算する主要な基盤となる。しかし、広島の中性子線量は見積もられた値よりずっと大きかったのではないか、という可能性について、ほぼ20年間も論争が続いている。この論争は熱中性子によって放射化された放射性同位元素の測定に基づくものであって、測定は遠い場所で予想以上に相当高いフルーエンス(単位面積を通過する粒子数)を示唆していた。中性子線量のほぼ全体を占める高速中性子の線量は、多数の生存者がいた、爆心地から遠い900ないし1500メートルの範囲では今まで測定で確認することは不可能であった。本論文は、広島の銅の試料中に、主として高速中性子(エネルギー 1 Mev 以上)が作った63Ni を検出した最初の報告である。この成果は化学抽出法の進歩と、63Ni原子を検出する加速器質量分析法の感度の大幅な向上によるものである。この結果と、広島の生存者の中性子線量から予測される63Niの放射化とを比較すると、生存者のデータと最も関連した距離にある場合よく一致する。これらの考察は、広島の生存者が受けた中性子線量に、初めて測定による明白な確認を与えたものである。

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