Letter 物理:量子臨界点における重い電子の破壊 2003年7月31日 Nature 424, 6948 doi: 10.1038/nature01774 物質が新しい形の秩序に対して不安定になる絶対ゼロ点を量子臨界点(QCP)と呼ぶ。QCPでは秩序と無秩序の間の量子ゆらぎが発達し、物質の有限温度における電子的特性に大きな変化をもたらすようになる。磁場は物質をできる限りQCPに近づくよう調整する理想的な手段であり、QCPで臨界性の最も強い効果が研究できる。重い電子物質YbRh2Si2に関する既存の研究では、磁場に誘起されたQCP付近で、電子の有効質量と散乱断面積が無限大に発散することから、電子の動きは次第に緩慢になり、徐々に高い確率で互いに散乱されることが見いだされている。しかし、こういった研究では、これら特性が印加磁場による人工的なものなのか、磁場にはよらないQCPのもっと一般的な性質なのかについて、明らかにできなかった。ここでは、ゲルマニウムをドープしたYbRh2Si2に磁場をかけて、化学的に誘起したQCPから離していったとき、比熱と抵抗率の温度依存性に普遍的な挙動が現れることを報告する。すなわち、電子の特性運動エネルギーは印加磁場の強度に直接比例する。QCPでは、電子のバリスティックな運動がすべて消え、個々の電子が集団的電子流体となって電流を運ぶ新しい種類の伝導相が発生すると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る