Letter 医学:上皮成長因子受容体はヒトサイトメガロウイルスに対する細胞受容体である 2003年7月24日 Nature 424, 6947 doi: 10.1038/nature01818 ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)は広く見られる日和見感染性のヘルペスウイルスで、臓器移植を受けた患者やエイズ患者など、免疫能の低下したヒトでは重症の致命的な感染症の原因となる。またHCMVは、ウイルスによる先天性奇形の主な原因であり、アテローム性動脈硬化症や冠状動脈の再狭窄にも関係している。HCMVは、対応する細胞受容体に結合して、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ、ホスファチジルイノシトール-3-OHキナーゼ、インターフェロン、Gタンパク質などがかかわるいくつかのシグナル伝達経路を活性化することによって、感染と細胞内シグナル伝達を引き起こす。しかし、HCMVの侵入やHCMVが引き起こすシグナル伝達に利用される細胞受容体は、まだ同定されていない。今回我々は、HCMVが上皮成長因子受容体(EGFR)に結合して細胞に感染し、シグナル伝達を誘導することを明らかにする。EGFRをもたない細胞にEGFRの相補的DNAを導入すると、HCMV非感受性だった細胞が感受性になる。リガンドの置換と架橋による解析で、HCMVがエンベロープの主要糖タンパク質であるgBを介してEGFRと相互作用することが示されている。erbBファミリーのcDNAを導入したチャイニーズハムスター卵巣細胞では、gBはEGFRおよびEGFR-ErbB3オリゴマー分子に優先的に結合する。これらの結果を総合すると、HCMVが引き起こすシグナル伝達とウイルスの侵入にはEGFRが不可欠な要素であることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る