Letter 生態:シンガポールで森林伐採に続いて起こっている破局的な絶滅 2003年7月24日 Nature 424, 6947 doi: 10.1038/nature01795 湿潤熱帯にしだいに現れつつある生物多様性の大規模絶滅は将来が懸念される主要な問題の1つである。しかしこれらの地域における絶滅が報告されても、ほとんどの場合広範な情報に基づくしっかりした実験・観察データが不足していて、不確かであったり憶測の域を出なかったりする。本論文では、183年間で生物生息域(540 km2)の95%以上が消失したシンガポールで、陸生および淡水生の広範な生物分類群に起こった局所的な絶滅について報告する。実際の報告と推測上の絶滅率ともに相当な値となったのは、特に森林生物で、絶滅率が最大級(34〜87%)となった分類群はチョウや魚類、鳥類、哺乳類である。維管束植物やナナフシ類、十脚類、両生類、爬虫類では、前記の分類群に比べて、観察された絶滅率は総じて少なかったが推定上の消失率は高い場合が多かった(5〜80%)。シンガポールの森林保護区は国土のわずか0.25%にすぎないが、現存する在来生物多様性の50%以上がここに生息している。校正した種―領域モデルを使って得た観察上および推定上の局所的絶滅率の推定値から外挿したところ、現在の東南アジアで起こっている空前の速度の生息域破壊によって、今後100年間で地域の個体群の13〜42%が消失することが示唆された。そのうち少なくとも半分は地球上からの種の消滅を意味するに等しい。 Full Text PDF 目次へ戻る