Letter

生理:大脳皮質のGABAを介した調節による痛覚鈍麻と痛覚過敏

Nature 424, 6946 doi: 10.1038/nature01808

痛みの知覚は、そのときの気分や注意や認知状態、あるいは大脳皮質の直接刺激によって変化することが知られているが、痛覚の皮質による調節を生み出す神経機構については、ほとんどわかっていない。痛みを伴う刺激によって常に活性化する皮質領域の一つに、吻側無顆粒島皮質(RAIC)があり、ここでは他の皮質諸領域と同様に、γ‐アミノ酪酸(GABA)がニューロン活動を強く抑制する。本論文では、自由行動ラットで、RAICでのGABA性神経伝達の変化により痛覚閾値が上がる(痛覚鈍麻が起こる)、または下がる(痛覚過敏が起こる)ことを示す。酵素阻害剤の投与やウィルスベクターを用いた遺伝子導入によってGABA濃度を局所的に上げると、脊髄の痛覚受容ニューロンへの下行性抑制が強まって、持続的な痛覚鈍麻が起こる。GABAB受容体をもつRAICニューロンを選択的に活性化すると、痛みや恐怖に関与する領域である扁桃体への投射路を介して痛覚過敏が起こる。ほとんどの研究が、侵害感覚処理の終点としての大脳皮質の役割に焦点を当てているが、むしろ大脳皮質の活動がトップダウン的に痛覚閾値の設定を変えている可能性があることを示唆している。

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