Letter 古環境:北大西洋産の現生有孔虫Neogloboquadrina pachydermaの遺伝的多様性が古海洋学にもたらす意味 2003年7月17日 Nature 424, 6946 doi: 10.1038/nature01778 浮遊性有孔虫Neogloboquadrina pachydermaの殻は北大西洋の氷期―間氷期の気候条件を復元する際に使われてきた、古典的な指標である。古海洋学者が利用しているのはこの殻に右巻きと左巻きがある点である。現在でも第四紀後期の堆積物でも、水温の高低や水塊特性の変化に応じた右巻きと左巻きの個体数の相互的推移がはっきりと見られる。最近になって浮遊性有孔虫類で今までわかっていなかった遺伝的多様性があることがわかり、有孔虫に基づく古海洋学研究に対して現在、重大な疑問が投げかけられている。古海洋条件の復元に右巻きの殻の記録が用いられているN. pachydermaは「単一種」とみなされているが、我々はこれには環境要因が変化したことにより種の交替があったことを示す遺伝的証拠を報告する。これは、最終氷期極相期から完新世全体までの間で、N. pachydermaの右巻きの殻の方解石に含まれるδ18Oが種に依存して漸増したという形でも現れている。右巻きの殻の割合から導き出された今回の知見により、右巻きN. pachydermaのδ18O記録を今後の研究に利用することが推奨される。また、他の重要な形態種を遺伝的に調べて古海洋学の代理指標としての精度や信頼度を高めることが必要なことも強く示している。 Full Text PDF 目次へ戻る