Letter

進化:急速な進化は捕食者−被食者系において生態的動態を促進する

Nature 424, 6946 doi: 10.1038/nature01767

生態的な動態と進化の動態は同じような時間スケールで生じうる。しかし、急速な進化が生態的な動態にいかに影響を与えうるかの理論的予測には決定的なものがなく、多くの場合、未検証のモデルによる推定をよりどころとしている。本論文では、実験用の微小生態系において、振動する捕食者密度に応答した被食者の急速な進化が捕食者―被食者(ワムシ―藻類)の周期変動に影響を及ぼすことを報告する。我々の実験では、被食者が進化できる我々の系のモデルから導かれる明確な予測を検証した。そして予想通り、藻類の競争能と被食に対する防御との間に進化上のトレードオフ関係が存在することが実証された。また、被食者個体群の進化の可能性を操作することによって周期変動の動態に及ぼすトレードオフ関係の影響を調べた。藻類の単一クローン培養(遺伝的多様性がない)では周期が短くなり、被食者密度と捕食者密度の間で位相が4分の1ずれるのが典型的だったが、藻類の複数クローン培養(遺伝的に多様)では周期が長くなり、被食者密度と捕食者密度の位相がほとんど逆になるという予想通りの結果となった。これらの結果から、被食者の進化は実質的に捕食者―被食者の動態を変化させうるものであり、したがって自然界における個体群の振動現象を理解しようとするときに、進行中の急速な進化による影響の可能性を無視できないことが確かめられた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度