Letter 生態:渡りをするコウモリの一種では強固な分集団構造が形態や生態と相関している 2003年7月10日 Nature 424, 6945 doi: 10.1038/nature01742 個体群間の遺伝的多様性のパターンを調べることで、種に影響を及ぼす過去および現在の進化の過程について有用な情報を得ることができる。従来の集団遺伝学研究では、コウモリや鳥類などの飛翔および渡りをする動物種にはごく小さい分集団構造が存在し、その特徴として集団どうしで高レベルの遺伝子流動があることが示されてきた。一般に、強固な分集団構造をとる哺乳類集団は、乗り越えられない障壁によって分離されているか、分散能力の低い陸生種の個体群であるかのどちらかである。雌に定留性(出生した縄張りに留まるか、出てまた戻ってくる傾向)がある種は、母性遺伝するミトコンドリアDNAで調べた場合に強固な分集団構造を示す可能性があるが、両親から遺伝するマーカーを使った場合には雄が関与する遺伝子流動のせいで、この分集団構造は通常消失する。哺乳類では普通、雄のほうが分散する傾向が強いと考えられ、また雌雄双方に定留性があることはまれである。核やミトコンドリアのDNAの知見と一致することから、渡りをするコウモリの一種で強固な分集団構造が見られること、また雌雄ともに定留性があることを示す。さらに、分集団の遺伝的構造は、局地的なバイオームや翼の形態分化と相関している。したがって、この哺乳類種の同所的亜種集団では遺伝的分化と形態的分化とに密接な相関性が見られる。 Full Text PDF 目次へ戻る