Article

海洋:グリーンランドティップジェットに強制されて生じるイルミンガー海の深い対流

Nature 424, 6945 doi: 10.1038/nature01729

外洋で表層から深層まで達する深い鉛直対流は世界の海洋の深層水が形成される過程の1つであるが、その過程が起こる場所は、ごく一部に限られる(例えば、地中海やラブラドル海)。最近、このような外洋での深い対流が発生する場所として、イルミンガー海の南西部も追加されようとしている。イルミンガー海で形成される深層水は、北大西洋の中深度を占める水塊に特徴的な水温や塩分濃度を有している。北大西洋の水塊全てはラブラドル海盆において形成されると以前は考えられてきた。本論文では、イルミンガー海における対流の原因として、グリーンランドティップジェット(Greenland tip jet)として知られる大気の低層ジェット気流が最も可能性が高いことを示す。このジェットは、グリーンランドのフェアウエル岬の風下側において周期的に発生し、活発な熱フラックスや風応力による強い回転(curl)を伴う。陸上の気象観測点データか ら導かれたティップジェット事象の歴史と局地的な海洋数値モデルとを用いて、北大西洋振動指数が高い場合に、この領域で深い対流が発達し得ること、さらに、その結果が観測と良く一致することを示す。イルミンガー海におけるこの対流機構は、ラブラドル海や地中海で働いている機構とは、顕著に異なっている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度