Letter

生化学:ショウジョウバエの聴覚に必要なTRPVイオンチャネルファミリー

Nature 424, 6944 doi: 10.1038/nature01733

昆虫のさまざまな種類の耳には弦音器官という共通の感覚器があり、音によって引き起こされた触角や鼓膜の振動は、繊毛をもった感覚ニューロンへと伝達されて受容器電位へと変換される。しかし、弦音ニューロン、あるいは他の聴覚系では、この変換に関わるイオンチャネルは分子レベルではまだ実体が不明である。TRP(transient receptor potential)スーパーファミリーに属するイオンチャネルの1つNOMPCに変異が生じたショウジョウバエでは、触毛における受容器電位と電流が消失するが、触角では音が誘起する応答のほとんどが維持されることから、弦音器官の一次変換器は別のチャネルであることが示唆される。今回我々は、ショウジョウバエのNanchung(Nan)タンパク質が、TRPスーパーファミリーに属するバニロイド受容体関連(TRPV)チャネルによく似たイオンチャネルサブユニットであることを報告する。培養細胞では、Nanは低浸透圧で活性化されるカルシウムの流入と陽イオン電流にかかわっており、in vivoでは弦音器官ニューロンでしか発現されず、このニューロンの感覚繊毛に局在している。Nanを欠失させた変異体では、音が引き金となった触角の受容器電位が完全に消失することから、Nanは弦音器官の機械刺激伝達に不可欠なタンパク質であることがわかる。

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