Letter 生理:染色体接着は時計遺伝子パラログTIM-1で調節される 2003年6月26日 Nature 423, 6943 doi: 10.1038/nature01697 ゲノムが間違いなく次代に伝達されるには、コヒーシンと呼ばれるタンパク質複合体が、複製された染色体間に調節性の連結体を形成し、染色体が分離するまで連結状態を維持することが必要である。本論文では、線虫Caenorhabditis elegansで、ショウジョウバエの時計タンパク質TIMELESSのパラログであるTIM-1が、染色体接着の調節に関与しているという予想外の結果を報告する。生化学的手法を用いて線虫のコヒーシン複合体を詳しく調べたところ、これがTIM-1と物理的に結合することがわかった。この相互作用が機能に関わっていることは、TIM-1またはコヒーシンを破壊したときに、有糸分裂時の染色体挙動の異常、胚性致死、また減数分裂時の染色体接着の欠陥が誘導されることから明らかになった。TIM-1を消失させると、非SMC (structural maintenance of chromosome;染色体の構造維持)コヒーシンサブユニットが有糸分裂中に染色体上に集合しなくなった。しかし意外なことに、SMC成分からなる不完全なコヒーシン複合体は染色体上に依然として結合した。またTIM-1とSMCサブユニットを同時に欠失させて有糸分裂時のコヒーシン活性をさらに低下させると、対合前の相同染色体対形成が起こりにくくなったことから、後生動物のコヒーシンには、これまで知られていなかった役割があることがわかる。線虫、ショウジョウバエ、マウスのTIMELESS相同分子の比較から、TIMELESS様タンパク質の太古から保存されてきた機能は、概日時計の調節ではなく染色体接着であると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る