Letter 医学:上皮細胞におけるグルタミン酸とATPによる動的なCFTRのイオン選択性の制御 2003年6月12日 Nature 423, 6941 doi: 10.1038/nature01694 嚢胞性線維症は、陰イオンチャネルである嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)に生じた変異が原因で起こる。CFTRの活性化には、リン酸化とATP加水分解が不可欠だと広く信じられている。本論文では、細胞質のグルタミン酸によって起こり、リン酸化やATPには依存しないCFTRの活性化について報告する。この活性化では、ヒト汗管のCl-コンダクタンスのみが誘発され、HCO3-コンダクタンスは生じない。また、グルタミン酸によって活性化されたCFTRのこの陰イオン選択性は実は固定されたものでなく、ATP加水分解が関与する過程を介して動的に変化し、HCO3-を透過するようになることも報告する。ΔF508変異型CFTRをもつ患者の汗管細胞では、グルタミン酸/ATPでの活性化によるCl-およびHCO3-のコンダクタンスが見られない。これに対し、R117H/ΔF508変異型CFTRをもつヘテロ接合の患者の汗管細胞では、Cl-コンダクタンスはほとんど失われるものの、HCO3-コンダクタンスはかなり維持される。このようにグルタミン酸は、よく知られているようにニューロンのイオンチャネルを制御するだけでなく、通常の上皮細胞におけるCFTRの陰イオンコンダクタンスと陰イオン選択性も制御する。この独特な制御をうけるHCO3-コンダクタンスが失われることが、重症型の嚢胞性線維症の発症原因になっている可能性がきわめて高い。 Full Text PDF 目次へ戻る