Letter 物理:電子ドープNd1.85Ce0.15CuO4の競合する基底状態としての反強磁性秩序 2003年5月29日 Nature 423, 6939 doi: 10.1038/nature01641 高温超伝導銅酸化物における超伝導は他の可能な基底状態と競合している。これらのエネルギー的に最も近い競合する基底状態の性質を明らかにし、もしその状態が高温超伝導体に共通するならば、高温超伝導の出現を説明する物理機構の選択肢は狭められる。理論的には反強磁性はその競合する基底状態になると予想されており、このような競合する基底状態は、磁場により超伝導が破壊された状態を調べることで明らかにできる。実際にホールドープ系の銅酸化物では、5〜12T程度の磁場により誘起された反強磁性が観測されている。しかしこれまでの実験では、大きな上部臨界磁場Bc2の為に超伝導状態から強磁性状態への量子相転移は観測されていなかった。ここでは、比較的容易に到達しうるBc2をもつ電子ドープ系銅酸化物Nd1.85Ce0.15CuO4で行った伝導特性と中性子散乱の実験を報告する。磁場によりコメンシュレートな周期を持つ静的な反強磁性長距離秩序が誘起され、かつ異常な伝導が観測された。誘起された磁気モーメントは磁場強度にほぼ比例して大きくなり、Bc2で飽和する。本実験、そしてこれまでのホールドープ系の実験から、高温超伝導銅酸化物の競合する基底状態は、電子ドーピングか正孔ドーピングかに関係なく反強磁性秩序であると結論される。 Full Text PDF 目次へ戻る