Letter 経済物理学:金融市場変動におけるべき乗則分布の理論 2003年5月15日 Nature 423, 6937 doi: 10.1038/nature01624 複雑系のダイナミクスは大規模な変動に注目することによって解明されることが多い。現在では金融システムに関する膨大な量のデータベースが存在するため、容易に大きな変動を分析し、その統計的特徴を把握することが可能である。べき乗則は、株価変動、出来高、取引数など金融市場のヒストグラムを記述するものと考えられる。そして意外にも、べき乗則を記述する指数は市場のさまざまな種類、規模、トレンド、また国に関わらず同じような値になる。このことから上記に共通の理論が根底にあることが示唆される。ここでは、いくつかの現実的な仮定に基づいたモデルにより、経験的なべき乗則が説明されることを報告する。このモデルでは、株式市場における大勢の動きは多数が参加する取引によって決定されるという仮定を前提にしている。多数の市場参加者(ミューチュアル・ファンド)の出来高分布から経験的に得られる特徴に基づいて、最大の利潤が得られるように取引が行われると、観測されるべき乗則が生じることを示した。また、このモデルによって、価格、出来高および取引数における大規模な変動関係を記述する特定の経験的な規則性も説明できる。 Full Text PDF 目次へ戻る