Letter 医学:ジスフェリン欠損型筋ジストロフィーに見られる膜修復の欠陥 2003年5月8日 Nature 423, 6936 doi: 10.1038/nature01573 筋ジストロフィーは、骨格筋が細くなり筋力が低下する遺伝性の筋疾患で、さまざまな種類がある。ジスフェリンの変異は、臨床的に異なる2種類の筋疾患、肢帯型筋ジストロフィー2B型と三好型ミオパチーと関連があるが、どのようなしくみで筋肉の変性に結びつくのかは不明である。ジスフェリンは、線虫Caenorhabditis elegansのfer-1遺伝子の相同体である。精細胞では、fer-1は細胞膜への小胞融合にかかわっている。今回我々は、ジスフェリン‐ヌルマウスは機能をもったジストロフィン-糖タンパク質複合体を維持しているにもかかわらず、進行性の筋ジストロフィーを発症することを明らかにした。正常な筋肉では、筋繊維鞘の損傷に応じて、ジスフェリンの豊富な膜パッチが検出される。これに対してジスフェリン‐ヌルマウスでは、小胞が筋細胞膜下に蓄積する。二光子レーザー走査顕微鏡を用いて膜修復状態を調べたところ、野生型では筋繊維がCa2+の存在下で筋細胞膜の損傷を効率よく封じることがわかった。しかし、ジスフェリンをもたない筋繊維は、カルシウムに依存して起こる筋繊維鞘の修復が行えない。つまり、膜修復は骨格筋繊維における能動的過程であり、ジスフェリンはこの過程に不可欠な役割を果たしている。今回の知見から、筋肉の膜修復装置の破壊がジスフェリンを欠くことによる筋肉変性の原因であることが明らかになり、また、この膜を封じるという細胞の基本的な膜修復機構がヒトの病気に重要なかかわりをもつことがはっきりした。 Full Text PDF 目次へ戻る