Letter 遺伝:DNAトリプレット反復配列はヘテロクロマチンタンパク質1に感受性を示すまだら状遺伝子抑制を引き起こす 2003年4月24日 Nature 422, 6934 doi: 10.1038/nature01596 多細胞生物では、分化した細胞型を維持するために遺伝子の抑制が不可欠だが、異常なサイレンシングは病気の原因になる可能性もある。DNAからのクロマチン形成やヘテロクロマチン形成は、遺伝子サイレンシングに関係している。クロマチンではDNAはヒストンに巻きついてヌクレオソームを形作っている。クロマチンが、多数かたまって存在する反復DNA配列と結びついてさらに凝縮したものは、ヘテロクロマチンと呼ばれる。ある遺伝子がヘテロクロマチン領域に異常に近い場所にあるときに、位置効果によるまだら状抑制(position effect variegation;PEV)が起こり、一部の細胞でこの遺伝子のサイレンシングが起こる。今回我々はマウスを用いて、筋緊張性ジストロフィーとフリードライヒ運動失調症で見つかった比較的短いトリプレット反復配列の拡大が、連結した導入遺伝子の発現にまだら状の変化を起こさせることを明らかにする。サイレンシングはプロモーターに接触しにくくなることと関連づけられており、ヘテロクロマチンが原因の従来型のPEVの修飾因子であるヘテロクロマチンタンパク質1(HP1)によって強化される。トリプレット反復配列が原因のまだら状抑制は、従来型のヘテロクロマチン領域には限定されず、染色体上の位置にかかわらず起こることは注目すべきである。ここで説明した現象は、PEVと重要な性質が共通しているので、ヘテロクロマチンを介した遺伝子サイレンシングの基盤となる機構が、哺乳類ゲノム全域のさまざまな部位で遺伝子調節に役割を果たしており、遺伝子のサイレンシングの程度を調節しているのかもしれない。そうすると、これがトリプレット反復病の重症度にも関わっている可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る