Article

医学:成体神経細胞塊注入による多発性硬化症の慢性モデル動物の回復

Nature 422, 6933 doi: 10.1038/nature01552

多発性硬化症の病理学的特徴は広い範囲の神経の脱髄と軸索退化である。この中枢神経系の慢性炎症疾患は多発性であるために細胞移植による治療が難しく、移植元細胞の由来や移植の経路の重要性が強調される。今回、同系成体マウスの神経幹細胞培養を確立し、培養細胞を多発性硬化症の動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)マウスの静脈内または脳室内に注入した。どちらの経路によっても、顕著な数の移植細胞が中枢神経系の脱髄を起こしている領域に浸潤し、成熟した脳細胞に分化した。これらの領域内では、オリゴデンドログリア前駆細胞の数が顕著に増えており、その多くが移植細胞由来で、活発に軸索の再髄鞘化を行っていた。さらに、移植を受けた動物では、アストログリアのグリオーシスが有意に減少し、脱髄や軸索退化の程度も明らかに軽減した。移植を受けた動物では、臨床的にも神経生理学的所見上でも、EAEによる機能障害がほとんど消失した。したがって、多発性硬化症の慢性モデルでは、成体の神経前駆細胞は、静脈内注入によっても髄腔内注入によっても、多発的に再髄鞘化と機能的回復を促進する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度