Letter 物理:超伝導状態Bi2Sr2CaCu2O8+δにおける原子スケール電子現象と波動的準粒子状態との関係 2003年4月10日 Nature 422, 6932 doi: 10.1038/nature01496 単純な結晶性固体の電子構造は、実空間(r空間)の局所的量子状態、あるいは運動量空間(k空間)で定義される波動的状態のいずれかで完全に記述できる。しかし、銅酸化物超伝導体はこの二つの状態のいずれか一方だけでは十分記述できない。実際、Bi2Sr2CaCu2O8+δ(Bi‐2212)のr空間とk空間からの研究結果を比較すると、多数の説明できない現象や見かけ上矛盾する点が見られる。ここでは、これらの問題を解決することを目標にBi‐2212の状態密度における原子スケールの空間変調をフーリエ変換により研究した成果を報告する。この空間変調が準粒子干渉から生じるとして解析を行うと、そこから得られるフェルミ面とエネルギーギャップを構成する成分は、光電子放出実験と一致する。多数存在する分散性の変調が準粒子干渉模型と矛盾しないことから、余分の秩序パラメータは必要ないことが分った。我々はまた、光電子放出では観測できない非占有状態の運動量空間構造を調べ、占有状態の構造との強い類似性を見いだした。このことから明らかなように、銅酸化物超伝導体は、標準的な超伝導体と同様の電子‐正孔の混成を示す。エネルギーギャップ極大付近では、変調は強く、結晶格子周期と整合するようになり、ナノメートルスケールの領域に閉じ込められている。このように波腹点での準粒子の散乱はナノメートルスケールの不規則性に強く影響される。 Full Text PDF 目次へ戻る