Letter 細胞:PAC1ホスファターゼはアポトーシスと成長抑制にかかわるシグナル伝達系におけるp53の転写標的である 2003年4月3日 Nature 422, 6931 doi: 10.1038/nature01519 p53は、標的遺伝子の転写調節を介した細胞内のさまざまな過程にかかわりをもっている。PAC1(活性化細胞ホスファターゼ1;二重特異性ホスファターゼ2、DUSP2とも呼ばれる)はトレオニン、チロシンの両方に特異性を示すホスファターゼで、マイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼを特異的に脱リン酸化し、不活性化する。本論文では、アポトーシス中にp53がPAC1プロモーターのパリンドローム配列部位に結合して、PAC1の転写を活性化することを明らかにする。PAC1の転写は血清欠乏や酸化ストレスに応答して誘導され、その結果p53に依存したアポトーシスが起こるが、細胞周期の停止を引き起こすγ線照射によっては誘導されない。干渉性低分子RNA(siRNA)を用いてPAC1の転写を抑えるとp53を介したアポトーシスが阻害され、逆にPAC1を過剰に発現させるとアポトーシス感受性が亢進し、腫瘍形成が抑制される。またp53の活性化によってMAPキナーゼの活性は著しく阻害される。これらの結果から、p53は特定のストレス条件のもとで新たなp53結合部位を介してPACの転写を調節しており、PAC1はp53を介したアポトーシスの必要十分条件であると我々は結論する。p53の結合部位としてパリンドローム配列が見つかったことにより、p53による標的遺伝子制御の新しい機構が解明されるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る