Letter 医学:インフルエンザ進化の生態学的および免疫学的決定要因 2003年3月27日 Nature 422, 6930 doi: 10.1038/nature01509 インフルエンザの世界的流行および地方的な流行では、相当数の、場合によっては壊滅的な数の患者や死者が生じる。宿主の免疫系からの強力な選択は、インフルエンザA型およびB型の抗原の変化を押し進め、その結果として蔓延中の株から、以前のタイプに対する免疫を持っている宿主に再感染できる新たな変異株への交替とが絶え間なく続くことになる。この「抗原ドリフト」(抗原連続変異)により、各年の流行前に新たなワクチンの処方が必要となることが多い。しかしながらインフルエンザの伝播性と変異率が高いことを考えると、系統内で遺伝的多様性が長い年月の間恒常状態にあることは奇妙に思える。もうひとつの謎は、世界的流行の際に、「抗原シフト」(抗原不連続変異)によって引き起こされる現存株の交替である。新たなトリ・インフルエンザA亜型のヒト集団への侵入はこの一例である。本論文では、実際の疫学的動態および塩基配列レベルでのウイルス進化の両方を取り入れた数学モデルを用いて、これらのパターンに内在する生態学的および免疫学的要因を調べた。このモデルから得られた結果を、世界規模の調査によって集められた塩基配列データに見られる系統学的パターンに対応させることで、短命だが、多様な株にわたる免疫が、宿主集団内でのウイルスの多様性の制限に必須であり、また抗原ドリフトや抗原シフトの動態の重要な側面を説明するのに欠かせないことがわかった。 Full Text PDF 目次へ戻る