Letter 地球:脱ガスされていない島弧のマグマにおけるマントルから地殻への高まったレニウム輸送 2003年3月20日 Nature 422, 6929 doi: 10.1038/nature01482 マントルおよびマントル由来岩石中の187Os/188Os同位体の特徴の変動は、地球深部の構造を化学的に追跡するための強力な手段になると考えられてきた。そのようなデータを用いた多くの研究により、レニウムを多く含む、長寿命の成分がマントル深部に存在し、この貯蔵庫はおそらく沈み込んだ海洋地殻からできていることが示されている。187Reは187Osへと崩壊する親元素であり半減期は約420億年である。しかしながら、このような同位体の特徴を解釈することは主要な地球化学的貯蔵庫すべてのレニウム濃度およびオスミウム濃度の正確な見積もりに依存しており、一般的にそのような全球的収支に対する地殻の寄与は少ないと考えられてきた。それに対して、本論文では島弧の液相含有物中でレニウム濃度が高く、Yb/Re比が低いという観察結果を報告する。このことは、脱ガスしていない島弧の岩石中ではレニウムが高度に濃縮されており、その結果として大陸地殻中でも同様の濃縮が見られることを示す。つまり、地殻中のレニウム濃度がこれまでの見積もりが0.4〜0.2 p.p.b.であったのに対し、約2 p.p.b.にもなる。これまでの島弧物質中のレニウムの測定値は、地表に噴出した試料の測定により得られたものが大部分であるため、レニウムが脱ガスの際に失われて間違った値を与えている可能性が高い。今回観測されたように、マントルと地殻間のレニウム流量が高いことは、187Re-187Os崩壊系列に基づいた地球化学的モデルを再評価する必要性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る