Letter 医学:抗体の中和反応とHIV-1による回避 2003年3月20日 Nature 422, 6929 doi: 10.1038/nature01470 中和抗体(Nab)は、多くの病原体に対して効率的に働くヒトの免疫反応の主要な構成因子である。しかしHIV-1感染におけるNabの役割については不明である。Nabの役割について解明を進めるために、急性HIV感染症患者の血漿を調べた。本論文では、HIV特異的抗体検出後52日という早い時期に自家性のNabが検出されることを報告する。Nabのウイルス抑制活性により、中和感受性のウイルスは、その後に生じる抵抗性ウイルスの集団によって完全に取って代わられる。Nabを回避するウイルスはenv遺伝子に変異が生じているが、その数は意外なほど少ない。しかも、たいていは既知の中和エピトープ中にはなく、主にN結合型糖鎖付加における変化に関与していた。この回避のパターンおよびHIV-1エンベロープ糖鎖付加の密集度が一般に極めて高いことから、我々は、グリカンの詰め込みを選択的に変化させることで、Nabの結合は防止するが受容体結合は妨げないように進化していく「グリカン・シールド」による中和回避機構があると考える。付加される糖鎖を変異によりNab選択的に置換すると、自家性抗体およびエピトープ特異的モノクローナル抗体の両方から回避できるようになることが認められ、このモデルに対する直接的な裏付けが得られた。従ってこの進化性グリカン・シールド機構は、抗体のレパートリーが進化するにもかかわらずHIV-1が残留する原因の1つとなる新たなメカニズムといえる。 Full Text PDF 目次へ戻る