Letter 細胞:上皮芽の発生におけるシグナル、転写、接着の関係 2003年3月20日 Nature 422, 6929 doi: 10.1038/nature01458 肺や歯、毛嚢といった多様な器官の形態発生は、上皮幹細胞層の下方成長により開始する。毛嚢の形態発生の際には、幹細胞の極性や細胞間接着が変化することによって、この芽のような構造が形成される。本論文では、この形成過程が、外部からの2つのシグナルを同時にうけることによって起こることを示す。2つとはβ‐カテニンを安定化するWntタンパク質と、Lef1を産生する骨形成タンパク質(BMP)阻害物質である。β‐カテニンはLef1転写複合体に結合してこれを活性化する。E‐カドヘリンは細胞極性と細胞間接着に重要な働きをする物質だが、この複合体は予想外にE‐カドヘリンの遺伝子を抑制することによって作用するらしい。2つのシグナルのどちらかが欠けると、機能をもったLef1複合体が形成されず、E-カドヘリン遺伝子の発現抑制と毛嚢形成が阻害される。ショウジョウバエでは、E‐カドヘリンは細胞分裂の程度や、細胞骨格の動態に影響を与えうる。E‐カドヘリンレベルを上昇させると、この考えと一致して、陥入と毛嚢形成が起こらないことがわかった。これらの知見から、2つの細胞外シグナル伝達経路を、細胞間結合を再建して毛嚢形成を可能にする標的遺伝子に作用する核転写因子の形成に結びつける複雑な分子プログラムがあることが明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る