Letter 細胞:受容体とリガンドの隔離による上皮成長因子受容体の活性調節 2003年3月20日 Nature 422, 6929 doi: 10.1038/nature01440 細胞と組織の情報交換では、リガンドと受容体の結合が中心的な役割を果たしている。ヒトの気道上皮では、リガンドである成長因子ヒレグリンとその受容体であるerbB2、erbB3、erbB4が、共に構成的に生産されている。ヒレグリンが結合すると細胞の増殖と分化が誘導されるが、気道上皮の細胞分裂の頻度は低い。そうなると、気道上皮ではリガンド‐受容体の結合はどのように制御されているのかという疑問が生じる。今回我々は、分化したヒト気道上皮ではヒレグリン‐αが頂端膜や気道表面被覆液だけに存在し、基底膜に局在するerbB2-4と物理的に分離されていることを明らかにした。このような物理的配置によって、上皮の完全性が損なわれたときにはただちに活性化できるリガンド‐受容体の組み合わせが準備されることになる。実際に、機械的損傷が起こるとすぐに、創傷縁辺の細胞でヒレグリン‐αがerbB2を活性化し、これが上皮の完全性回復を促進する。同様に、上皮細胞が頂端膜と基底膜とに分かれて(分極して)いなかった場合や、隣接した細胞間の密着結合が開いた場合には、ヒレグリン‐αが受容体を活性化する。このように上皮細胞の密着結合の両側にリガンドと受容体を引き離しておくという機構は、損傷後に上皮の完全性をすばやく回復するために重要であり、ひいては生存にも不可欠である。またこのモデルから、上皮の透過性が亢進する病気に見られる異常な受容体活性化の機構が示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る