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進化:ヒトの利他行動に制裁がもたらす有害な影響

Nature 422, 6928 doi: 10.1038/nature01474

血縁関係のない個人の間に協調や社会秩序が存在することは、行動科学における根本的な研究課題の1つである。生物学や経済学で広く普及しているアプローチでは、協調をもっぱら利己的行動としてとらえている。つまり、血縁関係のない個人どうしが協調するのは、経済的な報酬または制裁に直面した場合のみであり、そのため協調は利己的な選択ということになる。これらの理論では、経済的な誘因が正当あるいは合法的であると認められているかどうかは重要ではない。だが、公正さに基づく利他行動は、人間どうしの協調の強い原動力である。本論文では、現在主流となっている利己的行動を基盤とするアプローチには、人間の利他行動に対して制裁が与えるマイナスの影響を見落してしまうという重大な欠陥があることを実験的に示す。利己的あるいは貪欲な意図があらわな制裁は、利他的な協調をほぼ完全に崩壊させてしまうが、公正だと認められるような制裁は利他行動を損なわない。これらの知見は、公正な制裁と不当な制裁の区別を無視した人間の協調に関する最新かつ究極的とみなされている理論に対して疑問を投げかけるものであり、おそらく、配偶者間の関係や子供の教育、ビジネス上の関係や組織、さらには市場といった、自発的な服従が重要となるすべての領域において妥当性をもつであろう。

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