Letter 細胞:MDC1は哺乳類のDNA損傷チェックポイントのメディエーターである 2003年2月27日 Nature 421, 6926 doi: 10.1038/nature01446 細胞はDNAに損傷を与える薬剤などに絶えずさらされており、これに対処するため、細胞はチェックポイントとよばれる複雑な調節ネットワークを進化させてきた。これによって、DNAの損傷を感知し、DNA複製と細胞周期の停止、DNA修復とをうまく調整することができる。最近、ヒストンH2Aの変種であるH2AXが、DNA損傷部位へのDNA修復タンパク質の動員を特異的に制御することが明らかにされている。本論文では、BRCA1カルボキシ末端(BRCT)ドメインとフォークヘッド関連(FHA)ドメインを含む新しいタンパク質MDC1(DNA損傷チェックポイントタンパク質1のメディエータータンパク質)を同定したので報告する。これがH2AXとともに働いてDNA損傷部位への修復タンパク質の動員を促進し、損傷によって誘導される細胞周期停止チェックポイントを制御する。電離放射線を照射するとMDC1は数分以内に、広範囲にわたってg-H2AXフォーカスと重なり合うフォーカスを形成する。MDC1のフォーカス形成にはH2AXが必要で、MDC1はリン酸化されたH2AXと複合体を形成する。またこの複合体形成はリン酸化に依存しているが、それはHSAXのリン酸化部位を含むペプチドがリン酸化に依存してMDC1に結合するからである。我々は低分子干渉性RNA(siRNA)を用いて、MDC1をもたない細胞が電離放射線に感受性であることを明らかにした。またMDC1が、損傷で誘導される53BP1、BRCA1、MRNフォーカスの形成を、H2AXの効率的なリン酸化を促進することなどによって制御することも明らかにした。加えて、MDC1をもたない細胞は、電離放射線に曝露したあと、S期とG2/M期の細胞周期チェックポイントを適切に活性化できない。これには、Chk1を正しく調節できないことが関係していた。これらの結果は、MDC1のDNA損傷シグナルの伝達における重要な役割を強調するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る