Letter 地球:STAT3情報伝達系はレプチンによるエネルギー収支の調節に必要だが、生殖には必要ない 2003年2月20日 Nature 421, 6925 doi: 10.1038/nature01388 脂肪細胞からのレプチンの分泌は、長型のレプチン受容体(LRb)を活性化することによって、体のエネルギー状態を脳に伝える役割をしている。LRbはエネルギー恒常性や神経内分泌機能を調節する。db/dbマウスではLRbがないことによって肥満、生育異常、不妊、糖尿病が起こる。レプチンが機能する際には、LRbのTyr1138がかかわって転写因子STAT3が活性化される。レプチンの機能にSTAT3シグナル伝達系がどのように役立っているかをin vivoで調べるために、マウスのレプチン受容体遺伝子(lepr)を、LRbのTyr1138をセリン残基に置き換えた対立遺伝子(leprS1138)で置換した。これによって、LRb-STAT3シグナルが特異的に破壊される。本論文では、leprS1138ホモ接合マウス(s/s)は、db/dbマウス同様、食欲過剰で肥満になることを報告する。しかし、db/dbマウスは不妊で体長が短く、糖尿病だが、s/sマウスは繁殖力を持ち、体長が長く血糖値もdb/dbマウスほど高くない。また視床下部での神経ペプチドY(NPY)の発現はdb/dbマウスでは亢進しているのに対しs/sでは亢進していない。一方、視床下部のメラノコルチン系は、db/db、s/s両マウスとも抑制されている。従って、LRb-STAT3シグナル伝達系はメラノコルチン産生や体内エネルギーの恒常性に対するレプチンの作用に関与するが、NPYの調節、繁殖性、成長、グルコース恒常性の調節は別のLRbシグナルが行っている。 Full Text PDF 目次へ戻る