Letter 材料:内部電子放射に基づく光起電素子 2003年2月6日 Nature 421, 6923 doi: 10.1038/nature01316 1950年代における最初の太陽電池の開発以来、コストに比して効果の高い光起電素子を求めて、活発な研究が行われてきた。通常の固体太陽電池では、半導体の中で光の吸収によって電子―空孔対が作られ、半導体内部の電場の影響を受けて電荷の分離と収集が行われる。ここに我々は、多層構造の光起電素子について報告する。この素子では、光の吸収は半導体の中ではなく、極めて薄い金属―半導体接合ショットキー・ダイオードの表面に沈殿させた光受容物質の中で起こる。光で励起された電子は金属に移行し、弾道的に運動してショットキー障壁に至り、それを乗り越えて光電流の出力となる。低エネルギー(〜1eV)の電子は、貴金属の中で驚異的に長い弾道的な路程を持ち、電子の大多数が収集される。普通の太陽電池と異なりこの素子では、半導体は単に多数電荷の輸送と分離の役割しか果たさない。フルオレセイン系の光受容物質をAu/TiO2/Tiの多層構造の上に加工した素子は、強さ100mWcm-2の可視帯の光で照射するとき、典型的に、開放光電圧600〜800mV、短絡光電流10〜18μAcm-2を示し、内部量子効率(吸収された1個の光子あたり測定された電子の数)は10%であった。光を電気エネルギーに転換するこの新しい方法は、いろいろな材料を用いることにより、耐久性のある低価格の太陽電池を作り出す基礎になるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る