Letter 医学:NF-κB阻害と発癌性Rasは浸潤性のヒト表皮腫瘍形成を引き起こす 2003年2月6日 Nature 421, 6923 doi: 10.1038/nature01283 核因子NF-κBと発癌性Rasは、ヒトの癌が生じる最も一般的な部位である表皮の増殖に影響を与え得る。これらのタンパク質は、マウスの表皮性扁平上皮癌に関係があるとされているが、これらのタンパク質の機能変化がどういう影響を及ぼすのかは明らかでない。腫瘍によってはNF-κBの阻害がアポトーシスを促進する一方で、NF-κBが阻害されるとマウスの皮膚では扁平上皮癌を生じやすくなる。ヒトの癌については、RasやNF-κBの作用経路を阻害する治療法が開発されているので、これらの調節因子を変化させた場合の影響についての検討は重要である。しかしながら、マウスとヒトの皮膚のちがいや、マウスの細胞の方が形質転換させやすいといったことから、マウスを用いた研究の医療上の妥当性は限られている。本論文では、正常なヒト表皮細胞ではNF-κBと発癌性Rasの両者が、細胞周期の停止を起こすことを示す。発癌性Rasによって引き起こされる増殖抑制は、IκBαを介したNF-κBの阻害によって回避することができ、扁平上皮ガンに類似した悪性のヒト表皮組織が生じる。ヒト細胞の腫瘍化は、ラミニン5とα6β4インテグリンに依存している。このように、IκBαは、発癌性Rasによって誘導される増殖促進の抑制を回避し、またRasとともに作用して、浸潤性のヒト組織の腫瘍形成を誘導することができる。 Full Text PDF 目次へ戻る