Article 医学:DNAの損傷は、分子間自己リン酸化と二量体の解離によってATMを活性化する 2003年1月30日 Nature 421, 6922 doi: 10.1038/nature01368 ATMプロテインキナーゼの変異は、ヒトの毛細血管拡張性運動失調症と結びつけられているが、この酵素は哺乳類の細胞で電離放射線に対する応答にかかわっている。今回我々は、放射線照射を受けていない細胞ではこのATMが、二量体あるいはそれ以上の多量体という形をとることで不活性に保たれていることを明らかにした。この形のATMでは、キナーゼドメインが以前に報告されたFAT(細胞接着斑移行シグナル)ドメイン中にあるセリン1981周辺領域に結合している。細胞への放射線照射により、セリン1981の急激な分子間自己リン酸化が起こり、これが原因で二量体が解離してATMキナーゼ活性が誘導される。0.5Gyという低い照射量でも細胞内のほとんどのATM分子はこの部位が急激にリン酸化される。また細胞内でDNA二本鎖がわずか数か所切断されても、リン酸特異的抗体の結合が認められるようになる。ATMキナーゼの活性化は、電離放射線照射に対する一連の細胞応答を開始させるものらしい。今回の結果は、ATM活性化は、DNA鎖の切断箇所に直接結合することではなく、クロマチン構造の変化の結果として起こる可能性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る