Letter 医学:造血幹細胞は、幹細胞白血病SCL/tal-1遺伝子がなくても長期にわたる再増殖能と多能性を維持する 2003年1月30日 Nature 421, 6922 doi: 10.1038/nature01345 血液細胞の産生は、造血幹細胞(HSC)の働きによって、個体が生きている限り維持される。胚発生中の中胚葉細胞からHSCへの指定には、幹細胞白血病SCL/tal-1遺伝子の産物が必要である。SCL/tal-1を強制的に発現させると、胚における血液形成が強力に誘発されることから、この遺伝子が造血系への拘束に主要な役割を果たしていることがわかる。成体の造血系では、HSCと多能性前駆細胞類、赤血球系細胞、巨核球系細胞でSCL/tal-1の発現が亢進しており、成体の造血系でこの因子が果たす役割と一致している。今回我々は、HSCの特性と機能にSCL/tal-1が継続的に必要かどうかを、条件付き遺伝子ターゲティングによって検討した。その結果、HSCの移植、自己再生、骨髄球系やリンパ球系細胞への分化にはSCL/tal-1がなくてもよいことがわかった。しかし、赤血球系、巨核球系前駆細胞の適切な分化はSCL/tal-1に依存して行われる。つまりHSCの発生にはSCL/tal-1が不可欠だが、HSCの機能にはSCL/tal-1の継続的な発現は必要ない。今回の知見は、造血系細胞が造血系細胞であるためには継続的な転写因子の発現が必要であるとする細胞系列選択機構とは対照的である。 Full Text PDF 目次へ戻る