Letter 気候:CO2の増加は植林生態系の成長とイソプレン放出の連動を解く 2003年1月16日 Nature 421, 6920 doi: 10.1038/nature01312 森林樹木の葉から放出されるイソプレンは、生物圏―大気圏相互作用の基本成分であり、大気下層における光化学反応の多くを調節している。ほぼすべての産業植林種はイソプレンを多量に放出するため、植林プランテーションが拡大することによって局地的なオゾン汚染を高め、地球全体の気候の重要な決定因子の一つであるメタンの寿命を延ばす恐れがある。本論文では、CO2量を増加させた条件(800 μmol mol-1および1,200 μmol mol-1)におけるヤマナラシの1種Populus deltoidesプランテーションの成長が、生態系のイソプレン生産をそれぞれ21%と41%低下させた一方で、地上バイオマスの蓄積を60%と82%促進したことを報告する。高濃度のCO2に曝されることで、イソプレン合成の基質ジメチルアリル二リン酸の細胞内量は、葉と葉のプロトプラストの両方で大きく減少した。我々は、細胞内におけるホスホエノールピルビン酸をめぐる代謝の競合を、高濃度のCO2条件下におけるイソプレン放出抑制を説明する制御段階とみなせると考える。今回得られた結果は、産業植林種によってはイソプレン放出とバイオマス蓄積が連動しないことを示しており、拡大傾向にある産業植林による大気の質を悪くする効果が、CO2の増加によって相殺されている可能性があることを意味する。 Full Text PDF 目次へ戻る