Letter 進化:シダ植物の赤色光に対する反応には独特な光受容体が関与している 2003年1月16日 Nature 421, 6920 doi: 10.1038/nature01310 植物の生存には効率のよい光合成が不可欠である。植物はそのためにいくつかの光反応を発達させてきた。例えば茎は光源に向かって曲がり(光屈性)、葉緑体は光強度が適切な位置に移動し(葉緑体の光定位運動)、気孔は二酸化炭素を吸収するために開く。シロイヌナズナでは、これらの反応には青色光受容体のフォトトロピン1(phot1)とフォトトロピン2(phot2)が関与している。シダ植物のなかには、光屈性および葉緑体光定位運動が青色光のみならず赤色光でも制御されているものがある。しかし、赤色光反応に関与する光受容体は今まで同定されていなかった。ホウライシダ(Adiantum capillus-veneris)は独特の光受容体フィトクロム3(phy3)をもっている。この受容体は、赤色光/遠赤色光受容体であるフィトクロムとフォトトロピンが融合したキメラタンパク質である。今回phy3が赤色光依存の光屈性と葉緑体光定位運動に働いていることを、変異体の解析およびphy3遺伝子を導入した変異体の機能回腹によって同定した。phy3は弱光下における葉の光屈性と葉緑体光定位運動の感受性を大きく高めること、またいくつかのシダ植物にPHY3遺伝子が存在することから、このキメラ受容体は、光の強度が低い林床におけるシダ類の進化と繁栄に重要な役割を果たしたと思われる。 Full Text PDF 目次へ戻る