Letter 遺伝:線虫Caenorhabditis elegansの全ゲノムを対象に行ったRNA干渉による脂肪調節遺伝子の解析 2003年1月16日 Nature 421, 6920 doi: 10.1038/nature01279 体脂肪の貯蔵量の制御には、脳の摂食中枢と体内の脂肪貯蔵部位、脂肪利用部位との間のシグナル伝達が含まれている。今回我々は、生きている線虫を使って脂肪の貯蔵と移動の分析を行った。RNA干渉(RNAi)を利用して線虫がもつ16,757個の遺伝子の発現を阻害することにより、線虫ゲノムから正常な脂肪貯蔵に不可欠な遺伝子を系統的に選別し、体脂肪を減少させる遺伝子305個と、脂肪の貯蔵を増加させる遺伝子112個を同定した。線虫のインスリン、セロトニン、tubbyシグナル伝達変異体では体脂肪が増加するが、この変異体で体脂肪を減少させる遺伝子の不活性化について調べ、脂肪調節の中心的役割を担う一群の遺伝子と、経路特異的に働く脂肪調節因子を同定した。この新たに見つかった線虫の脂肪調節遺伝子の多くは哺乳類にも相同遺伝子が存在し、その中には脂肪調節の機能をもつことが知られているものもある。動物系統で広く保存されていながらこれまで脂肪貯蔵との関係が明らかになっていなかった線虫脂肪調節遺伝子は他にも多数あり、脂肪の貯蔵の調節に古くからの共通した機構があることを示している。またこれらの遺伝子から、肥満やそれに関連した病気の治療に役立つ標的が見つかるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る