Letter 生理:IGF-1受容体がマウスの寿命と酸化ストレス耐性を制御する 2003年1月9日 Nature 421, 6919 doi: 10.1038/nature01298 無脊椎動物での研究によって、寿命を制御する遺伝子がいくつか同定されており、その一部はインスリン、あるいはインスリン様タンパク質の関わるシグナル伝達経路の成分をコードしている。その中にはチロシンキナーゼ受容体で互いに類似したInR(キイロショウジョウバエ)やDAF-2(線虫)が含まれており、これらは哺乳類のインスリン様成長因子1型受容体(IGF-1R)のの相同体である。IGF-1Rが哺乳類でも同様に寿命を制御しているかどうかを調べるため、マウスのIGF-1R遺伝子を不活性化した(Igf1r)。ヌル変異体は生存できないため、今回ヘテロ接合のノックアウトマウスを用いて、 Igf1r+/-マウスが野生型の同腹子よりも平均26%長く生きることを明らかにした(P<0.02)。雌の Igf1r+/-マウスは野生型の雌に比べて33%長く生きるが(P<0.001)、ヘテロ接合の雄マウスでは寿命の伸びは16%で、統計的に有意ではなかった。長命の Igf1r+/-では矮小化は見られず、エネルギー代謝は正常で、栄養素摂取、身体機能、稔性、生殖とも影響は見られなかった。この Igf1r+/-マウスでは、老化の決定要素として知られる酸化ストレスに対する耐性が大幅に上昇していた。これらの結果は、IGF-1受容体が哺乳類の寿命の主要な調節体である可能性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る