Letter 宇宙:熱化学的なマントル対流により駆動された初期の月の核内ダイナモ 2003年1月9日 Nature 421, 6919 doi: 10.1038/nature01267 現在の月には内部起源の磁場は存在しないが、アポロが持ち帰った試料の放射計年代と古磁場のデータを組み合わせると、約39億年から36億年前に、おそらく古代の月のダイナモによると思われる磁場が存在した証拠を提供している。しかし、この時期に月にダイナモが存在したことを説明するのは困難である。なぜならば、月の熱進化モデルは核からの熱流量が約42億年前より後ではダイナモにエネルギーを与えるには不十分であることを示しているからである。本論文では、初期に成層構造を成した月のマントルが逆転した後に一時的に核内の熱流量が増加したことにより、初期の月のダイナモの存在とその時期を説明できることを示す。3次元球体の対流モデルを用いて、月のマントル底部では放射性元素に富んだ密度の高い層(「熱的な覆い(thermal blanket)」)が初期に核の冷却を妨げ、それにより核の対流と磁場の生成を抑制していたことがわかった。その後に放射性元素による加熱によって熱的な覆いの浮力は徐々に増加するので、最終的にはマントル内にまで上昇することになる。熱的な覆いが除去されることで、トリウムとチタンに富んだ月の海の玄武岩が噴出したことが説明できると考えられ、さらに短命に終わった月のダイナモを駆動するために十分な熱流量を核内でもたらしたと思われる。 Full Text PDF 目次へ戻る