Letter

視覚:節足動物による物体間の距離の確固たる判定

Nature 421, 6919 doi: 10.1038/nature01247

動物は目による奥行き知覚に際して、体サイズ、視覚系の構造や、環境の見た目の幾何的形状による制約を反映して、いくつかの戦略を用いる。特に節足動物は、体が小さく、低解像度の複眼で目と目の間が狭いため、奥行き知覚が制限されている。しかし本論文では、同種の個体から自身の巣穴を守っているシオマネキ類のカニが、他の個体が自身の巣穴にどれくらい近づいているかを判定できることを示す。小型のカニのダミーと対峙したとき、巣穴の持ち主はダミーの位置や動きを、自分自身との関係ではなく自身の巣穴との関係で評価した。つまり、自己中心型ではなく他者中心型の照合方式を使って評価した。カニが自分の巣穴を守るために急いで戻る見込みは、ダミーからカニ自身までの距離には無関係であり、ダミーが巣穴に近づくにつれて大きく増した。さらに、カニが反応するダミーと巣穴の平均距離は一定であり、ダミーが近づく方向とは無関係である。カニは、この相対的な距離判定という高度の課題を解くために、ダミーの位置および方向に関する視覚情報と、経路統合に際して得た巣穴の位置に関する情報とを組み合わせていると、我々は考える。そうすることで、このカニはヒトと同じように、目で見た環境の幾何的形状をうまく役立てているのだ。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度