Letter 生理:消去訓練に伴うAMPA受容体の増加がコカイン探求行動を減退させる 2003年1月2日 Nature 421, 6918 doi: 10.1038/nature01249 コカイン中毒には、薬物使用の禁断努力にもかかわらず再使用に陥りやすくするような長期的な神経生物学的変化が伴っていると考えられる。しかし、再使用の性向は消去訓練(コカイン使用による報酬がえられないことでコカイン探求行動が徐々に減っていく一種の抑制的学習)によって減退させられる。この論文では、慢性的なコカイン自己投与から離脱させる消去訓練中に、側坐核の外殻(コカイン報酬に重要に関与する脳領域)のAMPA(α‐アミノ‐3‐ヒドロキシ‐5‐メチル‐4‐イソキサゾールプロピオン酸)型グルタミン酸受容体のGluR1サブユニットとGluR2/3サブユニットが、経験依存的に増加することを示す。GluR1サブユニットの増加は、訓練で達成した消去の程度と正の相関をもっており、GluR1がコカイン探索の消去を推進していると考えられる。実際、ウィルスを使って側坐核外殻ニューロンにGluR1とGluR2を過剰発現させると、ショ糖への探求反応に影響することなくコカイン探求反応の消去が促進された。GluRサブユニットの過剰発現下では、1回の消去訓練セッションでストレス誘発性のコカイン探求の再発が低下し、それは過剰発現が終わっても続いた。この結果から、消去に伴うAMPA受容体の可塑的変化が、側坐核でのグルタミン酸作動性の状態を回復させることでコカイン探求の制御を助けており、長期の禁断中に起こるストレス状態でコカイン使用を再開する性向を減退させていると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る