Letter 地球:下部マントル最上部に存在する海洋地殻の中の非平衡ガーネット 2002年12月19日 Nature 420, 6917 doi: 10.1038/nature01281 海洋プレートが下部マントルに沈み込んで行くとき、ガーネット(玄武岩地殻中に存在)と珪酸塩スピネル(玄武岩地殻の下のかんらん岩層に存在)は、それぞれポスト・ガーネット転移およびポスト・スピネル転移を起こし、珪酸塩ペロフスカイトを主とする相へ分解する。相平衡に関する最近の研究によれば、初期の研究では深さ800 km近傍で起こると考えられていたポスト・ガーネット転移が、低温のプレートの中では、下部マントルのより浅部で起こることがわかってきた。このことは、玄武岩地殻が下部マントルに沈み込むときに、海洋プレートからはぎ取られて滞留するほどの充分な浮力を得ることはありそうもないことを示唆している。しかし、ここで我々はポスト・ガーネット転移に関する速度論的研究の結果を報告する。この結果は焼結ダイアモンドアンビルを用いたin situ高圧X線観察により得られたもので、ポスト・ガーネット転移の反応速度は、ポスト・スピネル転移に比べ、非常に遅いことが明らかになった。非平衡状態下の準安定スピネルは1,000 Kの温度下でも、速やかに分解してしまうが、我々の推定によれば、非平衡状態下の準安定ガーネットは、たとえ1,600 Kの温度下でも、1,000万年の時間スケールで存在できるはずである。従って相転移の速度論を考慮すると、沈み込んだ玄武岩海洋地殻が下部マントルの最上部で浮力を持つ範囲は、今までに考えられていた以上に広い深度に及ぶことが期待される。 Full Text PDF 目次へ戻る