Letter

海洋:北大西洋の亜熱帯モード水による大気中のCO2の短期間吸収

Nature 420, 6915 doi: 10.1038/nature01253

北大西洋北部における深層水の形成のような海洋循環の大スケール特性として、CO2を多く含む表層水を深海に輸送することによって大気からのCO2を長期における物理的な取り込みを調節することが知られている。しかしながら、亜熱帯環流の亜熱帯モード水のような、より浅い深度内で循環している水塊へCO2を取り込むことの重要性については、定量的にはほとんど分かっていない。この論文では、1988年と2001年の間に、北大西洋の亜熱帯モード水の溶存CO2濃度が、増加しつつある大気中のCO2とモード水との間に平衡が維持されている場合に期待される速度の2倍の速度で増加していることを報告する。すなわち、CO2の現在の正味年間海洋取り込み量の〜3-10%に相当する〜0.4-2.8Pg C(1Pg=10-1g)(すなわち約0.03-0.24 Pg Cyr-1)が、この期間に余分に増加しているわけである。このことは、深さ300m以上に及ぶ強い冬期の混合が最近数十年間生じていなかったことがこのCO2の蓄積を引き起こし、もし混合が生じていたとすればモード水の層を攪拌して蓄積されたCO2を大気へ送り返していたであろうことを示唆している。しかしながら、将来においては、(亜熱帯モード水の形成を影響する)気候変動と(冬期の深い混合が戻ることにつながる)北太平洋振動の変化が、亜熱帯モード水中のCO2の蓄積量を減少させるかもしれない。したがって、北大西洋の(おそらく他の水域でも)亜熱帯モード水によるCO2の取り込みは長期にわたるCO2の吸収を必ずしも意味しているわけではないが、この現象が海によるCO2の取り込みの経年変動に大きく寄与している可能性が高いと結論づけられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度