Letter

細胞:S期初期と後期における転写能力の確立

Nature 420, 6912 doi: 10.1038/nature01150

動物細胞では、DNA複製過程はプログラムにしたがって起こり、それぞれの遺伝子領域はS期のある決まった時期に複製される。あらゆる種類の細胞で、ハウスキーピング遺伝子はS期前半に複製されるのに対し、組織特異的遺伝子の多くで、その複製は発生に関連した制御を受け、発現される組織では早い時期に複製されるが大半の組織では遅い時期に複製される。本論文では、核へのDNA注入という実験系を用いて、この現象がS期における転写能力の確立時期のちがいによるものかどうかを調べた。その結果、S期の後期ではなく初期に核に注入した外来遺伝子は配列には関わりなく転写のよい鋳型になり、一度このような発現状態が開始されると、細胞分裂後もそれが継続することが明らかになった。S期後期に注入されたDNAは、脱アセチル化したヒストンを含むクロマチン中に入るために抑制されるらしく、遅い時期に複製される染色体DNAについても同様と考えられる。これらの知見から、複製の時期と遺伝子発現に機構的な関連があることが示唆される。このような関係は、in vivoで後成的状態が維持される仕組みの解明に役立つと考えられる。

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