Letter 物性:スピン液体の圧力誘起結晶化 2002年11月7日 Nature 420, 6911 doi: 10.1038/nature01157 液体は低温で結晶化すると期待される。唯一の例外はヘリウムで、量子揺らぎのため0 Kでも液体のままでいられる。同様に、磁石中の原子磁気モーメント(スピン)は、キュリー―ワイス温度θCWによって決まる温度スケールで整列すると期待されるが、幾何学的なフラストレーションをもつ磁石は例外である。これらの系では、格子の対称性のため、対を作るスピンの相互作用は同時に最小化することができない。このため、θCWよりずっと低い温度でも、短距離秩序をもって揺らぐモーメントからなる液体様状態が安定となりうる。今回我々は、中性子散乱を用いて、幾何学的なフラストレーションをもつ系であるTb2Ti2O7のスピン液体状態を、高圧(〜9GPa)低温(〜1K)条件下で観測した。この化合物はθCW =-19Kの3次元磁石であり、θCWの値が負であることは反強磁性相互作用を示す。Tb2Ti2O7は、常圧下では少なくとも70mKまでスピン液体状態にある。しかし、高圧下では、2.1Kより下でスピンが整列、つまり「結晶化」し始め、反強磁性秩序が液体様揺らぎと共存することを見いだした。これらの結果から、幾何学的なフラストレーションをもつ系では、圧力によってスピン液体/固体混合物が生じうることが示された。 Full Text PDF 目次へ戻る