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生態:深海の熱水噴出孔に生息するカニに見られる視覚の適応的な変態

Nature 420, 6911 doi: 10.1038/nature01144

海洋中央海嶺に沿って存在する熱水噴出孔には、数種の甲殻類など多様な固有動物相が生息する短命な生態系が宿っている。これら甲殻類のうち一部は、熱水孔の最大1000 m上、また100 kmも離れたところで幼生プランクトンとして発生を続ける。熱水孔動物群の生活史に視覚が果たしている役割については、あまりよくわかっていない。本論文では、熱水孔に生息するユノハナガニ類Bythograea thermydronのプランクトン性ゾエア幼生が、海洋中層の青色光に感受性のある視物質を備えた、像を形成する複眼をもっていることを報告する。この幼生が変態し、熱水孔に降下して定住し始めると、像形成型の視覚を失って、網膜が露出した高感度の目を発達させる。これらの目にある視物質の吸収スペクトルは、幼生から後幼生、成体へと変態するにしたがって、より長い波長へと移行していく。視覚のこの漸進的な変態は、像形成と引き換えに高い感度を手に入れるもので、幼生環境の青色光の波長から成体の生息する漸深海層の熱水孔環境で発せられる暗く長い波長の光へと、スペクトル感受性を変化させている。熱水孔は光を発しているので、後幼生が定着のために熱水孔を目指せるよう、熱感覚や化学感覚に視覚が加わったのかもしれない。

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