Letter 神経:内側前頭前野ニューロンが発する恐怖減衰の記憶信号 2002年11月7日 Nature 420, 6911 doi: 10.1038/nature01138 音と電撃を組み合わせた恐怖条件づけ反応は、その後音を電撃と組み合わせずに繰り返し与えると弱まっていく。この過程を減衰という。パブロフ以来、減衰は条件づけの消去ではなく、新たな記憶の形成だと考えられている。下部辺縁系皮質と前部辺縁系皮質を含む前頭前野腹内側部を破壊すると、恐怖減衰の再生ができなくなる。これは、前頭前野内側部が長期減衰記憶の貯蔵部位である可能性を示している。今回、ラットに恐怖条件づけと減衰を行いながら下部辺縁系ニューロンの活動記録をしたところ、翌日に減衰を再生する時の音刺激にのみ発火することがわかった。フリージング(運動停止)が最も少ないラットで、下部辺縁系の音反応が最も大きかった。また、恐怖条件づけをしたがまだ減衰をさせていないラットに対し、音提示と同時に下部辺縁系を短時間電気刺激すると、フリージングが少なくなった。つまり、減衰時の下部辺縁系の音反応に似せた刺激によって、減衰記憶をシミュレートできる。したがって、減衰学習の固定は下部辺縁系の活動を強め、これがその後の恐怖刺激遭遇時に恐怖を抑制する、という機構が示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る